平成21年度市原市中央図書館
文学講座・特別講演会
椎名誠 「本の力、本の夢」
2010年2月5日 14:00-15:30
講演概略(覚え書き)
・運命を決めた本「さまよえる湖」
この本に出会ってからいろいろと似たような本を読むようになり、十五少年漂流記もノンフィクションと区別つかないまま読んだ小学生時代、こうして読書に入っていった。
・ジュブナイルから完訳本へ(より深く求める)
高校時代に買い求めた、白水社「西域探検紀行(全14巻)」のうちの実物一冊持参、¥580とのこと。
・夢は持っているべき(タクラマカン)
TVの仕事で秘境・冒険へ。そんな中で【井上靖 「楼蘭」】に関係した企画で日中共同の取材で夢の地に行く。シベリアの話も。
・椎名誠写真展「五つの旅の物語―プラス1」
品川 キャノンギャラリー
[URL]
2010.2.17-3.29
・旅とは前後にわたって学習を強いるもの
旅に行くと現地で興味を持ち、日本に帰ってくるとそれについて調べる。調べるのは「本」。もっともっと知りたくなる。別のところに行きたくなる。(インターネットは限られた情報しか得られない)
アマゾンのアナコンダについて興味を持ち【生物の成長限界の話】など、生物分野に興味が広がる。
オオアリクイに興味を持ったことから、人の分岐の原点とも言われる【ナックル歩行】のこと、などなど、本で広がる。
・旅は、異文化理解のためのものでもある
探検や海外だけが異文化ではない。国内も異文化はたくさんある。
アメリカ育ちの孫と日本のトイレの話。
トイレに付加価値がありすぎる。
付加価値、これが日本。
魔法瓶のボタンの話で会場内を和やかな笑いに。
南米で一眼レフカメラを渡して撮影を頼んだらとられてしまって慌てるカッブル(バカップル)の話@現地の人の1年分の収入に近いカメラを渡す方が悪い。捕まらなかったが、もしかしたらでき心で‘これがあれが1年家族を養える’と思ってしまった善良な人だったかもしれない。想像力足りない。異文化を知ろうとしない。
・日本ガラパゴス現象
製品に多機能なものをつけても国際基準でなく競争力がない。
文化・経済・各種機能がガラパゴス化している。
公衆電話(10円玉)−プリペイドカード−携帯、と変わってきて、自宅外での電話がかけにくくなって仕方が無く携帯電話を買った話。
あの機能もこの機能もいらないと余分なもののついていないはずのシルバー対応の携帯電話を買ったはずなのに、取説がこんなに厚い(場内頷きながらの笑い多々)など・・。
・切り花−捉え方
壇横に飾られた切り花を指し示して
遊牧民のモンゴルでは動物の食べる草には敏感でも群生して咲いているエーデルワイスでも花というだけで興味はない。
ナホバ族の人が日本の墓で草取りをしている人を見て、(墓の下の亡き命)からはぐくまれた生命(草)を、なぜ刈り取るのだ。切り花を飾るのは逆ではないか、と言った。
など。
日本人が普通と思っていることが民族が違うと逆になることもあるのではないだろうか?
・水の話
今一番気にかかっているのが水のこと。今後の日本の大きな問題。
水に鈍感な日本。ありすぎると価値が無くなって見えるようになる。
国際河川が海外では大半。水の汚染は戦争に結びつく。川の源泉は手厚く保護されている。
日本は約35,000本の国有河川。源泉は保護されず、ケミカル汚染・免疫力の低下など、問題に。
抗菌グッズっていってるけれど、いいことだけじゃない。
・こういった知識は本から得られる。得てきた。
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